ストレス社会を生き抜く
目に見えないストレスがどうやって心を蝕むのか、
そのメカニズムが最新の研究で解明されつつあります。
マインドフルネス・ストレス低減法
太古からのストレス反応
日常の様々なストレス、恐怖や不安を感じると脳の中にある扁桃体が活動を始めます。すると脳からの指令で、副腎から様々な物質が分泌されます。それがストレスホルモンです。ストレスホルモンの活動は心臓の拍動を早め、血圧を上昇させるなど、様々なストレス反応を起こします。本来のストレス反応は太古の厳しい自然の中で生き残るために身に付けたものでした。生命の危機に直面した時に、心拍数などを上げる事によって体を動かしやすくします。例えば狩りの途中、ライオンに遭遇した時に闘争か逃走をしやすくするのです。そして、緊急事態が去った後、ストレスホルモンの分泌は止まります。
現代の天敵は?
天敵がいなくなった現代は、仕事上の様々なことや人間関係が、精神的な負担になっています。立て続けのストレスに休む間もなく反応し続けると、ずっとストレスホルモンを出していないといけない。そういう社会で長時間労働が毎日続く、睡眠も取れないことで慢性的にストレスホルモンが過剰に分泌されます。
記憶力と想像力が影響
さらに状況を悪化させるもう一つの仕組みがあります。それは人間に備わった記憶力や想像力です。例えば、上司からの厳しい叱責など大きなストレスに晒された場合、家に帰ってからも叱られたことを思い出してしまう。そして、また明日も叱られてしまうかもと想像してしまう。その度に脳はストレスを感じ、ストレス反応を起こします。このように過去や未来に想像をめぐらせてしまうことをマインド・ワンダリング(心の迷走)と言います。
幼少のストレスが影響
幼少の頃に受けたストレスが30年後どのような影響が現れるのか調査すると、子供の頃に受けたストレスが強いほど、大人になって扁桃体が大きくなることが分かりました。扁桃体が大きくなると小さなストレスにも過敏に反応してしまうと考えられます。
ストレス対策
広島大学はストレスに弱く、うつ病(0.6%)のリスクを抱える閾値下うつ(15.3%)を、うつ病の予備軍と着目して研究しています。そして、閾値下うつの人が心の健康を取り戻すための医療に基づく専門のプログラムを開発しました。どの様な行動がどれくらい効果があるか、10点満点で点数を付けて客観的に分かるようにするのです。自分のストレスをしっかり認知しながら対策を繰り返すことで、認知を司る前頭葉が活性化する。そして前頭葉は扁桃体の活動を抑制するので、ストレスへの過敏な反応が無くなり、心の健康を取り戻すことにつながると考えられます。
コーピング(気晴らしのストレス対処法)
あらかじめストレス対策をリストアップしておく。例えば音楽を聴く。本を読む。コーヒーを飲む。なるだけ多くをリストアップしておきます。そして、色々なストレスがかかるたびに、そのストレスに見合った気晴らしを行います。その結果ストレスが減ったかどうかを判断します。まだストレスを感じていたらさらに気晴らしを続けたり別の気晴らしに切り替えたりします。このようにストレスの観察・対策を意識的・徹底的に繰り返す。これがコーピングです。
マインドフルネス
マインドフルネス・ストレス低減法は、マサチューセッツ大学医学部で開発されました。アメリカではストレス対策の柱として推奨し、大企業をはじめ、学校では子供たちが、刑務所では受刑者が熱心に取り組んでいます。8週間のプログラムを終えると体の不調はおよそ35%、心の不調はおよそ40%軽減されることが研究で分かりました。
脳の海馬と扁桃体が正常に
記憶や感情に関わる海馬はストレスにより萎縮すると、うつ病につながる可能性があると指摘されていますが、プログラム後の検査では、海馬の灰白質に5%増加が確認され、ストレスに蝕まれた海馬が回復する可能性が見えてきました。ストレスで増幅する扁桃体も5%減少が確認され、ストレスへの過敏な反応が抑えられると考えられます。幼い頃に強いストレスを体験した人や、ストレスによって蝕まれた脳もマインドフルネスによって正常な状態へ戻れる可能性があることを最新の科学で明らかにしています。
心身症の腰痛にも着目
うるうカイロ院では、腰痛や頭痛の原因を精神・構造・栄養・環境のアンバランスと捉えます。すべての緊張、恐れ、心配、怒りなどは脊柱支持筋に影響し、精神的な障害が腰痛と関係していることは明らかです。心身症による腰痛は、普通の対処療法では効果を示さないので、当然治療にあたっては精神的な面を考慮します。
自分を安定させるトーニング
自分を安定させてセロトニンを多く分泌させる方法として『トーニング』があります。セロトニンはノルアドレナリンやドーパミンの分泌をコントロールして暴走を抑えます。セロトニンが弱まり、ドーパミンが暴走すると、アルコールやパチンコなどの依存症に陥りやすいと考えられる。ノルアドレナリンは脳を覚醒させ集中力や判断力を高めるが、一方で興奮作用があるため、怒りっぽく、イライラしやすくなり躁状態になりやすい。その働きを抑えて精神を鎮静させるのがセロトニンです。
トーニングは1日1回
「アー、イー、ウー、エー、オー」とゆっくり大きな声で言う。
この時に、頭部、頸部、胸部、腹部に自分の声が響くようにすると良い。
仕事前に心の準備運動として行うのも効果的です。